第49回衆議院議員総選挙を終えて

暑い中選挙区での新報号外ポスティングや、早朝からの駅頭での活動など、党員のみなさんの頑張りは目を見張るものがあった。また友党の新社会党のみなさんの街頭行動をはじめ、党籍のない社民党支持者や大椿支援者も連日候補者に寄り添って、選挙最終日はマイクが使えなくなっても夜遅くまで頑張っていただくなど、頭の下がる思いだが、残念ながら「当選」という結果を出すことができず、本当に申し訳なく思う。

今回の選挙の特徴は一言でいうと、「自民大負けで野党が躍進、とはならなかった。ところが維新が伸び、しかも女性議員は減った」こと。

今回、アベ・スガへの信頼失墜が数字に表れるほどだったので「政権交代か」と気色ばんだ我々野党勢力だったが、始まる前の街頭宣伝活動で冷めた空気を感じ、「風」は吹かないまま選挙に突入。案の定、投票率が戦後3番目の低さ…これは、近年の自民や維新の政策に「ベーシックインカム」「同一労働同一賃金」「新自由主義からの転換」「成長と分配」「カーボンニュートラル」など謳っており、野党リベラル勢力と区別がつかない、ならば今の自公政権でもよいのではないか―自公は嫌なので、野党でも同様路線で地域重視の維新か―となったのではないかと考える。若年層ほどこの傾向は強くなっており、我々リベラル野党が、明確な違いを解りやすく示せず、政治への信頼の無さ・無関心に繋がったことが敗因の一つだろう。唯一、解りやすく見えやすくインパクトの大きな訴えのれいわは、議席を1から3に増やした。

第3極を掲げた維新とは、新自由主義「右派リベラリズム政党」で、有権者に改革政党と思わせている。しかし今回の維新の躍進―これは前回の衆院選での希望の党の立ち位置を合わせて考えねばならない。維新との合計は61議席1,305万票、今回は国民民主と合わせて52議席1,064万票と支持を減らしていると観る向きもある。但し、維新は野党共闘から離脱した国民民主と共に、改憲共闘の構えを見せていることが脅威だ。

連合(日本労働組合総連合会)を中心に野党共闘が失敗の元と喧伝されているが、無ければ更に立民は小選挙区議席を減らしていただろう。敗因は、野党共闘が未熟だったことにある。連合推薦議員も居るが、我々は今後も野党共闘を進める。

 今回は一方的に立民に利の在る形で他党に不満が残ったし、共産支援者は政権に組することに不安を感じた。

 2017年希望の「排除の論理」に対し、立憲「立憲民主党はあなたです」「ボトムアップの政治」を地域ボランティアや市民Gが支えたが、国会議員中心の既成政党のままに留まった。

1964年成田委員長は日本社会党の弱点を「日常活動の不足」「議員党的対質」「労組依存」と指摘した。つまり、「ボトムアップの政治」~日常的な政治参加の協働体制の構築が重要な課題であり、私たちはこの原点に立ち戻るべきだ。

また女性議員に関して、当選45人(9.7%)で前回の衆議院選47人を更に下回った。日本は政治分野のジェンダーギャップ指数が先進国156か国中147位と惨憺たる順位で、計画での2025年女性候補者35%の目標達成には、投票率UPのための努力だけでは限界があり、諸外国のようにクオータ制を採用するなどの政策が必須だ。しかし、NHKの調査結果を見ると、『9.7%』は「低すぎる」が42%「男女の割合は問題ではない」が46%、またこの42%は男女同比率でした。わが国の国家公務員の女性上級管理職は4.2%、上場企業の女性役員は6.2%…私たちは未だかつて女性リーダーがたくさん存在する社会を経験したことがなく、良さを想像できないのだ。しかも、特に日本の国政選挙の活動や議員活動は子育て中の母親には不利、社会の眼も厳しいので、クオータ制が活きる。他党との差別化のために、党の死活をかけ、強く打ち出してもらいたい。

もう一つ、社民党の進むべき道は、労働者の使い棄て「非正規雇用」廃止を訴え続けること。集票に繋がらないことは、鴨ももよ候補を立てた時からわかっている。しかし、他党が触れない政策であっても、我が党は非正規で働く労働者の声なき声を聴き、その方策を工夫しつつ押し出すべきである。

更に社民党の一丁目一番地である「平和憲法を護り抜く」ことも前面に掲げるべき。

このように、小規模政党になっている社民党の力量を勘案し、総花的な体制から的を絞った政策中心の体制にシフトすべきではないか。

また、我々の弱点はSNS等を活用したOn-Line上の情報発信だ。全国連合では人的強化が進んでいるが、兵庫県連合では遅れを取っている。若年党員や外部支援者の協力で、体制づくりが喫緊の課題である。

結びに、巷では「社民党は批判ばかりで対案を示すべき」とよく言われる。対案を示すべきものは建設的に主張していくが、そもそも野党の存在意義は与党政治のチェック機能 にある。今後も、堂々と批判していく。

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